小さな工場のまとめ方の一つ。判断軸を「儲かるか儲からないか」に統一する
小さなクリーニング工場で現場をまとめるために、判断軸を「儲かるか儲からないか」に統一した結果、現場の動きが軽くなり時給も上げられるようになった話。具体的な実践方法を解説します。
小さなクリーニング工場を経営していると、スタッフや現場をどうまとめていくかは日々の悩みになります。 マニュアルを細かく整備する方針もあれば、裁量を大きく渡す方針もある。正解は一つではありません。
この記事では、私が自分の工場で大事にしているまとめ方の 一つ を紹介します。それは、判断軸を「儲かるか儲からないか」に統一する という方法です。
特別な話ではありません。ただ、決め方をシンプルにしたことで、現場の動きが軽くなり、スタッフの時給も少しずつ上げられるようになってきました。
行動基準の一番上を揃える
工場経営で大事にしていることは複数ありますが、そのうちの一つに「行動基準の一番上を、何のために工場経営をしているのか で揃える」というのがあります。
うちで言えば、その答えは明確です。
みんなが働きに来て、なるべくいいお金を稼げるようにするため。
時給をどんどん上げて、短い時間でたくさん稼げるようにする。これを 一番の目標 に置いています。
うちで働いてくれている方はパートさんがほとんどで、大切な時間をうちの工場に貸してお金を稼ぎに来てくれている。同じ時間なら、より多くもらえた方がいい。この方向を迷いなく示せる旗を、行動基準の一番上に立てています。
判断基準を「儲かるか儲からないか」に統一する
目的を「スタッフが稼げるようになること」に置くと、判断はシンプルになります。 具体的には、あらゆる判断を「儲かるか儲からないか」で決める ということ。
たとえばパートさんの間で作業のやり方について意見が分かれたとき。
私は「どっちが良い悪い」ではなく、「どっちが儲かるか」 で判断します。
- 儲かる = 作業効率が高い
- 作業効率が高い = 少ない人件費で多くの生産枚数を出せる
- 多く生産できる = 残るお金が増える
- 残るお金が増える = スタッフの時給を上げる原資になる
この一本の線でつながっているので、迷いにくい。しかも、結果が数字で返ってくるので検証もしやすい。
細かいマニュアルより「効率」
判断軸が揃うと、細かいマニュアルの必要性が下がります。
うちで守ってもらっているのは「納品する時の形」だけです。これはお客さんごとに決まっているので必ず守る。でも、そこに至るまでの過程は自由にしています。
「儲かる方法は?」と突き詰めると、みんな似たやり方に収束する
不思議なもので、「より儲かる方法は?」と突き詰めていくと、誰がやっても似たようなやり方に辿り着きます。
なるべく早く、なるべくきれいに、納品の形を守って生産する。
これが結局ベストです。だから細かく動作を縛る必要があまりない。
「丁寧すぎて遅い」は儲からないやり方
逆に気をつけているのは、「きれいだけど丁寧にやりすぎて遅い」というパターン。
これは判断基準に照らすと「よくない」やり方に分類されます。どんなに一生懸命やっていても、残るお金が減っていれば工場の目的から外れてしまう。
少し厳しく聞こえるかもしれませんが、一生懸命さや真面目さ自体は、あまり関係ない。「どうやったら儲かるか」を考えてくれる方が、うちでは正解になります。
欠勤・シフト変更にも柔軟でいられる理由
判断軸を「儲かるか」に揃えると、当日欠勤やシフト変更にも柔軟に対応できます。
これも同じ理屈です。
過程は関係ない。誰か1人休んだなら、休んだ形で一番儲かる流れを組み直す。
もちろん全員休まれたらそもそも無理ですが、1〜2人の欠員なら、その日ある人数で一番生産性が出る流れを組み直した方が早い。
決めたシフトを崩させないことに価値を置くと、現実とのずれで無理が生じることがあります。結果として利益が落ちれば、スタッフの時給を上げる原資も減る。目的から逆算すれば、柔軟運用の方が合理的です。
今日から試せる3つの視点
もし「しっかりやっているのに、なぜかお金が残らない」と感じているなら、次の3つを試してみてください。
1. 単価を数字で把握する
1枚畳んだら・1枚納品したらいくら、という単価は決まっているはずです。まずは1作業あたりの金額を数字で握ります。
2. 時間を1段階短縮できないかを考える
今1枚畳むのに1分かかっているなら、50秒・40秒と減らせた方が残るお金は増える。動線、道具の配置、手順の順番——どこか1箇所の短縮から始めれば十分です。
3. 判断に迷ったら「儲かる方か」に戻す
スタッフと話し合うときも、マニュアルを書くか迷うときも、「最終的に儲かる方はどっちか」で意思決定を統一する。これだけで現場のブレが減ります。
小さな工場だからこそ、軸を一つに絞る
稼げるやり方に変わっていくと、
- 同じ売上に必要な人数=人件費が減る
- その分、新しい仕事を受けられる
- シフト量を適正に減らすこともできる
- 残るお金が増えれば、設備投資や余剰金に回せる
選択肢が広がります。小さな工場ほど、軸を一つに絞ることで動きやすくなる 側面があると感じています。
マニュアルを細かく整備するのも一つの正解。 僕が取っているのは、判断軸を一つに統一してシンプルに運用する というもう一つの正解。
どちらが絶対ではありませんが、迷っている人がいたら、後者の入り口として「儲かるか儲からないか」を試してみる価値はあると思います。
この内容はPodcast「こまつラジオ」Ep.008で詳しく話しています。
うちの工場では、こうした「儲かるかどうか」での判断を現場で共有しやすくするために、工場管理アプリ KIMAMANOSHIBUTSU を自社開発して運用しています。作業時間や生産枚数を記録して、判断の材料を数字で揃えるのが狙いです。